「偏差値向上のためではなく、健康経営の土台を整えたい」ロイヤルグループがWILLEEと進めた戦略再構築とは

健康経営コンサルタント
髙田 悠太

ロイヤルマネジメント株式会社は、ロイヤルホールディングス傘下で、ロイヤルホストをはじめとする外食事業やコントラクト事業、ホテル事業、食品事業などを展開するロイヤルグループ各社のバックオフィス機能を担う会社である。

健康経営の対象は、ロイヤルグループの従業員約2,300名(連結正社員ベース2025年12月31日現在)にのぼり、グループでは以前から健康診断の受診促進をはじめとした施策を継続してきた。

WILLEE代表の田澤とコンサルタントの髙田は、戦略マップやKGI・KPIの再整理等を通じた健康経営の土台づくりから健康経営度調査票への対応まで伴走した。

今回、ロイヤルマネジメント株式会社 人事部 労務厚生課の西牟田純様、沼田もと子様に、健康経営推進における課題感や、WILLEEの支援を通じて得られた成果について語ってもらった。

健康経営の取り組みは続けてきた。それでも、停滞への危機感があった

―ロイヤルグループの健康経営への考え方についてお教えください。

西牟田:ロイヤルグループは、『食とホスピタリティ』で、地域や社会を笑顔にするという経営ビジョンを掲げています。その実現にあたり、私たちが何より大事だと考えているのは、人です。

だからこそ、さまざまな形で人に投資を行い、一人ひとりを大切にしながら経営していこうという考え方のもと、人財中心経営を重点領域として位置づけています。

そして、人財中心経営を支えるうえで欠かせないのが、従業員一人ひとりの健康です。ロイヤルグループでは、全従業員の健康経営を推進しています。健康でいきいきと働ける環境があってこそ、人の力も十分に発揮されると思っています。健康経営は、人財中心経営を実現するうえでも欠かせない重要な取り組みです。

―健康経営の取り組み内容についてお聞かせください。

西牟田:ロイヤルグループでは、健康診断の受診促進をはじめ、従業員の健康を支える施策を、着実に進めてきました。2013年度には「DBJ健康経営格付」を取得しています。外食・小売企業では初めてのことです。また、健康経営優良法人についても、2016年度・2017年度、そして2019年度から2024年度まで認定を受けています。

ただ、2021年度から2024年度にかけて、健康経営度調査の総合評価が55点台、54点台、53点台、52点台と、1ポイントずつ低下していました。健康経営を取り巻く環境が変化し、社会全体の取り組みも進んでいくなかで、自分たちはこのままでよいのか、何か根本的な課題があるのではないかと感じていました。

―そのなかで、特に根本的な課題だと感じていたことは何だったのでしょうか。

私たちは外食事業やホテル事業をはじめ、さまざまな事業を展開しており、事業所も全国に分散しています。健康リテラシーを高め、従業員の皆さんがもっと自身の健康に関心を持てる状態を目指したいと考える一方、施策の届け方について行き詰まっていました。たとえば、研修やイベントを実施するにしても、1か所に人を集めることは容易ではありません。また、店舗運営の都合上、まとまった時間を確保しにくいといった事情もあります。

日々の業務に従事するなかでは、自身の健康にまで十分に意識を向けにくく、どうしても目の前の仕事が優先されやすい面があります。そうした状況も含めて、健康経営をどのように前に進めていくかは、大きな課題だったと思います。


西牟田 純様
/ロイヤルマネジメント株式会社 人事部 労務厚生課 課長

WILLEE依頼の決め手は、寄り添う姿勢と健康経営の土台づくりへの共感

―健康経営の推進にあたり、外部支援を検討された背景を教えてください。

西牟田:私がこの業務に携わった最初の一年ほどは、まずは自分たちで進めようと考えていました。グループ各社にいる健康推進委員の力を借りながら、できることを一つずつ進めていこうという意識でしたね。

ただ、実際に進めるなかで、自分たちだけでは知識や経験に限界があるとも感じるようになりました。施策を実行することに終始してしまい、取り組みの全体感や目的意識に立ち帰れていなかったので、戦略的に取り組めているか不安にも感じていました。健康経営度調査の偏差値が下がっていたのも、それが理由として大きかったのではないかと思います。

健康経営を一定水準で維持するだけでなく、もう一段上のレベルを目指すのであれば、外部の知見を取り入れたほうが確実ではないかと考えるようになったんです。そこで、当時の上司にも相談し、外部支援を検討することになりました。

―外部支援の検討は、どのように進められたのでしょうか。

西牟田:社内で導入を進める以上、「なぜその会社なのか」を説明できる材料が必要です。

そのため、各社の特徴や違いを整理しながら、自社にとって本当に必要な支援は何かを見極めていきました。外部支援を入れること自体が目的ではなく、自分たちの課題に対してどのように伴走してくれるのか、という視点で比較していたと思います。最終的には三社に絞りましたが、相当数の情報を集めて整理しましたね。

―そのなかで、WILLEEに依頼した決め手は何だったのでしょうか。

西牟田:当時の私たちは、決して高いレベルに到達していたわけではありません。だからこそ、最初から画一的に進めるのではなく、今の状態を踏まえて一緒に考えてくれるパートナーであってほしいという思いが強かったように思います。

また、調査票の偏差値を上げること自体が目的ではなかった、ということも重要です。もちろん結果として改善したい気持ちはありましたが、それ以上に、健康経営をどう本質的に前進させるかといった点に向き合いたいという思いが強くありました。その点で、田澤さんと髙田さんは、まず私たちの状況を丁寧に聞いてくださいましたし、本当に向き合いたかった課題を理解してくださった感覚がありました。

沼田:西牟田から「すごくいい方々がいる」と聞いていました。実際にやりとりを見ていても、人柄の面は大きかったように思います。こちらの話をきちんと受け止めてくださる印象があり、安心して相談できそうだと感じていました。

西牟田:決め手は、自社の課題に寄り添い、健康経営の土台部分から建て直してくれる期待感でしたね。今振り返っても、良い決断だったと思っています。

調査票対応にとどまらず、健康経営の土台づくりから伴走した

―支援の具体的な手順についてお聞かせください。

西牟田:まず、前年度の健康経営度調査票を振り返り、設問で問われている内容を確認しながら、ロイヤルグループの取り組みが適合しているか細かく確認していきました。田澤さん、髙田さんにこれまでの取り組みをお話しし、設問の趣旨に対して適合しているか、適合していないのであればどうすると良いのか、客観的にアドバイスをいただきました。

並行して、健康経営を通じて何を目指しているのかを再整理していきました。目指す姿が言語化されたため、“従業員の働く満足度”を高めていくことをKGIに据え、そのために心身の健康が重要であるという考え方が、自分たちのなかでも腹落ちしました。また、プレゼンティーズム、アブセンティーズムも重要なKPIとして再認識することができました。

―健康経営のゴール設定ができたのですね。その後はどのように支援が進みましたか。

西牟田:これまで実施してきた施策を棚卸しし、それぞれが何のために行われているのかを整理しました。当社の取り組みを踏まえた整理フォーマットを作成いただいたので、全体像が分かりやすく整理されていきました。

そして、目指す姿から逆算するトップダウンの視点と、既存施策から積み上げるボトムアップの視点の両面から整理することで、実態に即した戦略マップを再構築していきましたね。何を目指してどのような健康経営を推進しているのか、また今後どのように取り組んでいくのか、より明確になったと感じています。

髙田:西牟田さん、沼田さんにはそれぞれの施策導入の狙いをお伺いしながら、各施策がKGI改善につながるものかを確認し、戦略マップのたたき台作成をご支援していきました。全国に多数の事業所があるということや、働き方の特性、性年代構成を踏まえた健康リスクなどを踏まえて、現在の施策の方向性が正しいことが確認でき、実態に合った戦略マップができたのではないかと思います。


髙田 悠太/株式会社WILLEE コンサルタント

―戦略マップ作成後は、どのように進んでいきましたか。

西牟田:KGIやKPIについては、多様なアドバイスをいただきながら、どのデータをもとに、どのようなロジックで算出するのかという定義も整理していきました。いままで把握できていなかったプレゼンティーズムについては、従業員満足度調査でどのように取得するかを整理し、早速測定を開始しています。また、アブセンティーズムについても、定義を見直し、データの整理を進めていきました。

また、既に把握可能なKGIやKPIについては、過去3年分の実績値を確認し、それを用いてコーポレートサイトで公表する健康経営の取り組みや実績も整理しました。

そして、このような取り組みを経て、健康経営度調査票の自由記述設問にも臨んでいきました。土台である戦略マップ、施策・KPI一覧の全体整理ができていたため、健康経営推進方針や推進計画、効果検証に関して、一貫性のある回答案を作成していくことができました。

―支援の進め方はいかがでしたか。

沼田:進めるべきことは多かったのですが、打ち合わせのたびに次のアクションが整理されていたため、一つずつ着実に形にしていけた印象があります。打ち合わせの間のやり取りでも丁寧にフォローしていただけたので、私たちとしても進めやすかったです。

調査票への回答だけではなく、その前提となるデータや考え方まで一緒に整えていけたことが、今回の支援の大きな価値だと感じています。

戦略マップの整理が、施策推進と社内共有の軸になった

今回の支援を通じて、最も大きな成果は何だったとお考えですか。

西牟田:戦略マップを実態に即した形で再構築できたことです。健康経営として何を目指し、その実現に向けてどの施策に取り組むのか。その全体像が明確になりました。

健康経営の目的と、各施策・指標の位置づけが明確になったことで、自分たちの言葉で説明しやすくなったと感じています。

―戦略マップの整理によって、実務面ではどのような変化がありましたか。

沼田:以前より、全体像を踏まえて施策を判断しやすくなりました。これまでは、それぞれの施策が個別に存在している印象もありましたが、今回、戦略マップによって一つの流れとして捉えられるようになりました。

その結果、何を優先し、どこから着手すべきかも見えやすくなりました。

―社内共有や関係者との連携には、どのような変化がありましたか。

西牟田:以前は、必ずしも戦略マップを意識しながら進めていたわけではありません。現在は、健康推進委員をはじめ、社内の関係者に対して、何を目指し、なぜその施策が必要なのかを説明しやすくなりました。

その結果、関係者と方向性を合わせやすくなり、施策の浸透にもつながっていると感じます。健康経営を進めるうえでは、各拠点や各事業所のキーマンとなる方々の協力が欠かせません。その意味でも、共通言語となる戦略マップができた意義は大きかったですね。

沼田:ロイヤルグループには、必要性や目的をロジカルに説明できれば、納得感をもって主体的に行動してくれる方が多いと感じています。今回、戦略マップや指標が整理されたことで、その説明もしやすくなり、社内共有も進めやすくなったと思います。


沼田 もと子様/ロイヤルマネジメント株式会社 人事部 人事企画・労務厚生課

実態に即した見直しが、偏差値向上という成果につながった

―今回の取り組みを通じて、どのような手応えがありましたか。

西牟田:健康経営度調査の偏差値が向上したことは、大きな成果だったと感じています。数年にわたって点数が少しずつ下がっていた状況から、今回しっかりと反転できたことには手応えがありました。

また、今回良かったのは、単純にチェック項目を増やして偏差値を上げたわけではないことです。前年までチェックしていた項目についても、改めて見直した結果、「実施できていると言い切るのは難しい」と判断し、外したものもありました。見かけ上の点数を取りにいったのではなく、実態に即して厳密に整理し、結果が向上したことに大きな意味があったと感じています。

沼田:私も同じく、現状を正しく整理したうえで進めていきました。田澤さん、髙田さんからも、難しい部分は率直にご指摘いただけたので、私たちとしても納得感を持って進めることができましたね。

だからこそ、今回の結果を本当の意味での改善として受け止めています。結果として偏差値が向上したことはもちろん嬉しかったですし、これまでの取り組みが着実に形になったと感じました。

田澤:偏差値向上につながったのは、西牟田さん、沼田さんと一緒に健康経営の土台を整理できたことに尽きると思っています。戦略マップの見直しに加え、KPIや実績の振り返りを整理できたこと、さらに自由記述の表現や社外開示の範囲まで一定のフレームを整えられたことが大きかったのではないでしょうか。単発の対応ではなく、土台を整理したうえで回答や開示に落とし込めたことが、結果にもつながったのだと思います。


田澤 直幹/株式会社WILLEE 代表取締役

健康づくりが前向きに広がる企業文化を目指して

―今後の健康経営の推進に向けた意気込みを教えてください。

西牟田:健康経営を、より前向きに取り組めるものへ発展させていきたいと考えています。これまでは、「二次検査を受けましょう」「特定保健指導を受けましょう」といった、未達成の部分に対して促すアプローチが中心になりやすい面がありました。もちろん、それ自体は重要であり、必要な取り組みです。

一方で、それだけでは健康経営そのものが負担感のあるものとして受け止められてしまう可能性もあります。健康になることや健康づくりに取り組むことが、個人にとっても会社にとっても前向きで価値のあることとして受け止められる状態をつくっていきたいと考えています。健康であることが自然に評価される企業文化や風土を育てていくことが、今後のテーマの一つです。

沼田:私はさまざまな人を巻き込みながら進めていくことが重要だと感じています。健康経営は、一部の担当者だけで進めるものではなく、少しずつでも社内全体へ関心を広げていくことが必要です。

そのためにも、取り組みを継続的に発信し、まずは知ってもらうことが大切だと考えています。理解や関心が広がることで、より多くの方に参加していただける環境につながっていくのではないでしょうか。

―具体的に検討されている施策があれば教えてください。

西牟田:今年は、健康診断の結果をスコア化し、前年より改善した方や、高い水準を維持している方を表彰するような取り組みも検討しています。

不健康なエピソードが話題になることはあっても、健康づくりに前向きに取り組むことが自然と話題になる場面は、それほど多くありません。だからこそ、前向きな取り組みが少しずつでも社内で可視化されることには意味があると思っています。健康を意識することが、ポジティブな行動として広がっていく流れをつくっていきたいですね。

沼田:健康への関心が高い方だけでなく、これまであまり意識してこなかった方にも、何かのきっかけで参加してもらえるとよいと思っています。表彰や見える化のような取り組みが、その入口になる可能性もあります。

「少しやってみようかな」と思える人が増えていくことが、結果として全体の底上げにもつながると考えています。

―今後、健康経営をさらに推進していくうえで、重視していることや目標があれば教えてください。

西牟田:実現に向けては、経営トップの発信も大きな力になると感じています。ロイヤルホールディングス代表取締役社長の阿部からも、健康がロイヤルグループの持続的な発展にとって重要であるというメッセージが発信されており、会社として健康を重視する姿勢は社内にも浸透してきていると感じます。

そのうえで、一部では「ホワイト500」を目指していこうという声もあります。制度そのものを目的にするのではなく、優れた取り組みを行っている企業水準を目指した結果として到達できれば理想的だと考えています。

田澤:今回のご支援を通じて、今後さらに健康経営を前に進めるための土台が整ってきたと感じています。戦略マップやKPIの整理を通じて、何を目指し、どこに手を打つべきかが見えやすくなりました。

加えて、貴社はトップのコミットメントに加え、各拠点の担当者のみなさまも協力的で、推進体制が非常にしっかりしています。こうした強みを活かしていけば、今後さらに高いレベルを目指していけると感じています。

髙田:本質的な健康経営を進めていくうえでは、司令塔となる事務局の方々が、どれだけ前向きに社員のことを考え、熱量を持って取り組めるかが非常に重要だと感じています。

今回、西牟田さん、沼田さんと一緒に議論させていただくなかで、そうした姿勢や推進力を強く感じました。貴社には、今後さらに取り組みを前進させていける大きな可能性があると思います。弊社としても、今後さらに高い目標に向けたご支援ができればと考えています。

―実際に支援を受けてみて、WILLEEのサービスはどのような企業に向いていると感じますか。

西牟田:健康経営度調査への対応だけでなく、健康経営を継続的に推進するための土台を整えたい企業には、非常に合うサービスだと思います。弊社も、結果として偏差値は向上しましたが、それ以上に大きかったのは、今後どこに手を入れるべきかが具体的に見えてきたことです。今回の支援は単年度の成果にとどまらず、これからの健康経営を進めていくための大きな足掛かりになりました。

沼田:健康経営に取り組む企業であれば、フェーズを問わず相談しやすい会社だと思います。一律の進め方ではなく、それぞれの状況や課題に合わせた伴走があり、次にやるべきことが明確になりました。健康経営の進め方に悩まれている会社は、ぜひWILLEEに相談してみてほしいですね。

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