資料ダウンロード
お問い合わせ
2022/11/14 (更新 : 20241105)

従業員の健康行動を促進するキャッチフレーズ  ホワイト500認定法人10社の事例を一挙紹介

健康経営の推進において、従業員一人ひとりに健康行動を促進させていくことに難しさを感じられている企業も多いことと思います。リモートワークが進んだことによって健康に対する価値観が変わり、生活習慣改善等の健康行動を実践する従業員は一定数増えたかものの、そうでない従業員も未だ多く残っているかと思います。

そのような従業員に対して、納得性と主体性を持って健康行動の実践を促していくにはどのようにすれば良いでしょうか。その1つの解は、従業員に期待する健康行動をわかりやすくキャッチフレーズ化して伝えていくことです。

本稿では、従業員の日々の健康行動を促進する重要性を改めて振り返ったうえで、従業員に期待する健康行動をキャッチフレーズ化して伝えることのメリットおよびホワイト500の先進事例をご紹介します。また、健康経営の社内浸透強化を考えられている企業様に役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

1.健康行動とは何か?

健康経営における「健康行動」に関しては、明確な定義があるわけではないので、「従業員自身及び周囲の心身の健康のために、日々実践されるべき望ましい行動」と弊社では定義しています。

従業員自身の身体の健康に向けては、適度な運動を行う、バランスの良い食事を摂る、質の良い睡眠をとる、飲酒は適度・適量にする、喫煙しない、などの適切な生活習慣を送ることが健康行動としてまずは挙げられます。また健康診断の結果に問題がある場合は、治療を継続し、適切にコントロールすることも健康のために実践すべき行動と言えます。

従業員自身の心の健康に向けては、ストレスコーピング(問題焦点型:ストレッサーを解消する、情動焦点型:ストレッサーへの捉え方を変える、ストレス解消型:ストレスを発散し解消する)やマインドフルネス(過去の後悔、未来の不安に対してではなく今に焦点を当てる)、生活習慣を改善するなどの行動が挙げられます。

そして、周囲の健康に向けては、よりイキイキとした職場になるよう継続的に職場環境改善を行う(働きやすさを高める、やりがいを高める)、健康状態が気になる同僚に声をかける・専門職に繋ぐといった行動のほか、家族が健康でいられるよう適切な生活習慣に一緒に励む、コミュニケーションをしっかりと取るといった行動も含まれると考えます。

2.健康行動の促進が重要な理由

健康経営では健康状態や業務パフォーマンスを改善することが求められていますが、そのためには、悪化させる原因である日々の行動を正していくことが極めて重要です。

健康行動が促進されていない企業においては、今の健康不良者を改善に導いても、新たな健康不良者が発生し、経年で見るとトータルで健康不良者は減っていない、ということはよくあることかと思います。

産業医や保健師による面談を強化してハイリスク層を日々改善に導いているものの、ホームページで公表している健康状態の数値が経年で悪化してしまっているのは、非常に残念なことと思います。

そのため、いま健康状態が悪くない従業員も含め全社一体で、従業員自らの心と身体の健康、そして周囲の健康に向けた日々の健康行動を促進していくことが重要です。

3.健康行動の促進に向けたキャッチフレーズ化のメリット

では日々の健康行動を促進するために、何が必要でしょうか。

その解は、従業員一人ひとりに日々どのような健康行動をとってほしいのか、その全体像をキャッチフレーズ化し、それに紐づけて具体的な健康施策を発信・参加促進を行っていくことです。

なぜこの方法が望ましいか、具体的なメリットは以下3つです。

①どのような健康行動が望ましいかが分かりやすい

  • 従業員においては何が望ましい健康行動なのかが分かっていない人も多いため、それを明確に伝えることで目指す地点が理解される
  • 個々の健康施策を推進するにおいても、各施策がどのような健康行動を目指したものなのか、実施目的が理解される

②健康経営の取り組み全体像が理解される

  • キャッチフレーズに紐づく形で管理指標・健康施策が見える化されるため、取り組み全体像が理解される
  • 各施策を告知する際も、その全体像の一環であることを伝えることで、位置づけが理解される

③主体的な健康づくりが進む

  • 会社の健康施策以外でも、望ましい健康行動に向けた自主的な活動を各自や職場内の小集団で考えて実践することが期待される

4.期待する健康行動をキャッチフレーズ化している先進事例

健康経営優良法人2024(大規模法人部門 ホワイト500)に選定されている会社のうち、期待する健康行動をキャッチフレーズ化している先進事例をご紹介します。

オムロン株式会社「Boost5」

全社共通の健康づくりを応援するため、運動、睡眠、メンタルヘルス、食事、タバコ(禁煙)の5項目について具体的な指標を5つ制定し、「Boost5」と名付けられています。5項目それぞれの指標の目標達成に向けて、年度ごとに特に注力すべきテーマが設定され、取り組まれています。

オムロン株式会社 ホームページ

株式会社明電舎「スマートチャレンジ明電5」

全社で取り組むべき健康活動を5つ設定し、「スマートチャレンジ明電5」と命名されています。受動喫煙対策、生活習慣病対策(39歳以下)、生活習慣病対策(40歳以上)、がん対策、心の健康づくり推進の5つについて、具体的な指標と施策を紐づけながら取組みを進められています。

株式会社明電舎 ホームページ

株式会社島津製作所「ミル・ミル・Genki」

測定機器を製造する会社としての特徴を活かし、運動、食事、睡眠、こころ、禁煙の5つの分野で展開する活動を「ミル・ミル・Genki」と命名し、それに紐づく各種施策を推進されています。戦略マップにも5つの分野の取り組みを記載しているほか、各分野のKPI目標を設定しながらPDCAを推進されています。

株式会社島津製作所 ホームページ

株式会社ダイセル「健康アクセル6」

グループ従業員に促進して欲しい運動、食事、睡眠、飲酒、間食、喫煙の6つの健康行動を「健康アクセル6」と命名し、その実践を呼び掛けられています。6つのテーマごとに経営トップ自身の健康保持・増進の取組みの発信や、保健師によるオンライン教育を実施されています。

株式会社ダイセル ホームページ

日東精工株式会社「Nicotto7」

健康で充実した人生を送るために設定した運動、夕食、朝食、飲酒、メンタルヘルス、喫煙、睡眠の7つの取組み項目を「Nicotto7」と命名されています。この7つの生活習慣改善にひとつでも多くチャレンジしてもらうことを通じて、生活習慣病リスクの軽減と、活力ある職場づくりに取り組まれています。

日東精工株式会社 ホームページ

積水化学工業株式会社「7つの健康習慣」

従業員の健康寿命の延伸と、いきいきと仕事に臨んでもらうことを目的として、朝食、間食、運動、体重、睡眠、喫煙、飲酒の「7つの健康習慣」を促進されています。7項目それぞれに適切な習慣の基準を設け、2030年にはすべての従業員が6項目以上実施していることを目指されています。

積水化学工業株式会社 ホームページ

大阪瓦斯株式会社「ヘルシー7」

健康経営宣言に基づき、従業員の健全な生活習慣を担保するための行動指針「ヘルシー7」を策定し、周知されています。体重、食事、運動、飲酒、喫煙、睡眠、ストレスについて、健康診断の際の生活習慣問診等を通じて7項目の実施状況を把握し、組織・個人にフィードバックを行われています。

Daigasグループ ホームページ

カゴメ株式会社「カゴメ健康7ヶ条」

従業員の健康管理・健康増進を積極的に進める上で、栄養・野菜摂取、乳酸菌摂取、快眠・挨拶、運動、衛生、飲酒・喫煙、健診・自己管理から成る「カゴメ健康7ヶ条」を策定し、施策推進の柱としています。各事業所で7ヶ条に紐づく健康施策の企画・推進を行いつつ、事業所横断での健康推進委員間での連携を通じて情報共有を図られています。

カゴメ株式会社 ホームページ

トヨタ自動車株式会社「8つの健康習慣」

全従業員の健康レベルの底上げを目的として、心身の疾病予防に関連する適正体重(BMI)、運動、飲酒、禁煙、朝食摂取、間食、睡眠、ストレスを「8つの健康習慣」と定められています。また8つの健康習慣を改善する活動を「健康チャレンジ8」と名付け、従業員一人ひとりが現状より一つでも多く、または今現在実践できている習慣をもっと意識・実践することを通じて、健康な人づくりを目指されています。

トヨタ自動車株式会社 サステナビリティデータブック

SCREENホールディングス株式会社「いきいき9」

従業員と職場の両面から心と身体の健康づくりを推進するにあたり、健康増進のための9項目「いきいき9」を定め、それに紐づく形で各種施策を推進されています。運動、食事、睡眠、飲酒、喫煙、ストレスの6項目に加え、適切な検査・受診、専門家への相談、職場環境改善、という健康経営に欠かせない3項目を追加することによって、社員に対するメッセージ性を持たせています。

SCREENホールディングス株式会社 ホームページ

5.健康行動をキャッチフレーズ化するうえで考えるべき3つのこと

これまでの内容を見て、期待する健康行動をキャッチフレーズ化してみようと考えられた方向けに、キャッチフレーズ化するうえで検討すべき3つの観点とポイントをお伝えします。

①どのような健康行動を含めるか

本稿1章でも定義を記載した通り、健康行動には、生活習慣等の改善行動だけではなく、医療機関への受診行動、専門職への相談行動、同僚の支援行動など、期待する日々の行動は多様に存在しています。

そのため、どこまでを含めて、期待する健康行動として従業員に伝えていくのか、については各社ごとに検討が必要です。自社の従業員の健康状態、健康行動の現状をよく分析し、何を促進していく必要があるのか、取捨選択して考えていくことが望ましいです。ありとあらゆる健康行動を含めるのは分かりにくさを生むのでお勧めしません。

また、運動、食事、睡眠、・・・など含まれるカテゴリーを決めるだけでなく、運動であれば例えば「1日〇歩以上歩こう」といった具体的な健康行動を設定することが不可欠です。

②どのような指標・施策を紐づけるか

キャッチフレーズを通じて期待する健康行動を伝えるうえでは、必ず各々の健康行動に管理指標を設定し、具体的な健康施策を紐づけて発信していくことが必要です。会社全体で各々の健康行動が現状どのような状況か、また会社として各々の健康行動をどのような健康施策を通じて促進しようとしているのか、が従業員としては知りたいところです。

そのため、期待する健康行動を設定したものの、それをどのようなデータでどう評価したら良いかわからない、つまり指標化できないという場合は、健康行動を見直すことが必要です。

また、期待する健康行動に紐づく具体的な健康施策がない(例えば、朝食摂取を健康行動として掲げているのに会社施策がない)という場合は、健康行動を見直すか、適切な会社施策を検討することが必要です。

③どのようなネーミング・ロゴにするか

従業員の記憶に残るネーミングやロゴを作成することは非常に重要です。

ネーミングに関しては、ホワイト500の事例では、健康や前進をイメージさせるワードや、数字を盛り込んでいるケースが大半でしたが、これにこだわる必要はないかと思います。自社でよく使われているキーワードや、社内コミュニケーションで使ってみたくなるようなキーワードを活用するなども手かと思います。

また、ネーミング検討においては、事務局で考える方法のほか、趣旨を伝えて社内公募で募集するという方法もあります。後者の方法は、社内公募を通じて期待する健康行動についての内容理解に努めることになるので、一石二鳥の方法としてよく採用されています。

ロゴに関しては、ぱっと見たときに「健康経営だ!」と理解してもらえるような印象的なものを作成できると良いでしょう。健康施策を単発で発信していくのではなく、キャッチフレーズ・ロゴに紐づけて発信していくことで従業員における瞬時の理解が進みますので、作成しておくことをお勧めします。

6.まとめ

健康経営の取り組みを成功に導くためには、従業員の理解と参加が不可欠です。そのためには、単に施策を実施するだけでなく、従業員に期待する健康行動の全体像を示し、それに紐づけて個々の健康施策を推進していくことが重要です。つまり、従業員への「伝え方」がカギであり、キャッチフレーズ化がその重要な役割を果たします。

本コラムでご紹介したキャッチフレーズ化において検討すべき観点は以下の3つです。

  1. どのような健康行動を含めるか
  2. どのような指標・施策を紐づけるか
  3. どのようなネーミング・ロゴにするか

全体像整理、指標・施策、ネーミング等のすべてにおいてキャッチフレーズ化がうまくいくと、従業員コミュニケーションがぶれないものとなり、健康経営全体のPDCAの推進も確固たるものへと変わっていくでしょう。

しかし、この初期設計が中途半端なものになると、社内に浸透しきらず、成果の出づらい健康経営に陥ってしまいます。

そこで、WILLEEでは健康経営の社内浸透を支援するサービス「社内浸透サポート」を提供しています。現状分析から戦略立案、実行支援、効果検証まで、一貫してサポートいたします。

健康経営の社内浸透にお悩みの企業様、より効果的な取り組みを目指したい企業様は、ぜひWILLEEにご相談ください。皆様の健康経営の成功をサポートいたします。