令和8年度健康経営度調査の重要変更点を解説
―企業に求められる対応とは

2026/09/04

令和8年度健康経営度調査の調査票が公表され、今年度も一部設問や認定要件の見直しが行われました。
近年の健康経営度調査では、健康経営を「形として取り組んでいる」だけではダメで、「着実に浸透を図っているか」「自社従業員以外にも広げているか」「グループ会社の取り組みも支援しているか」といった観点が重視されるようになっています。

そこで本記事では、令和8年度健康経営度調査における重要な変更点を解説するとともに、企業に求められる具体的な対応についてご紹介します。

・今年は何が変わったのか?
・ホワイト500認定要件はどのように変わったのか?
・自社ではどのような対応を進めればよいのか?

こうした疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.令和8年度調査で注目すべき認定要件

令和8年度健康経営度調査では、ホワイト500の認定要件に関わる設問が追加・変更されました。特に押さえておきたいのは、次の3点です。

・従業員への健康経営の理解・促進(Q30・Q31)
・他社からの派遣社員等や家族への健康支援(Q20)
・トップランナーとしての健康経営の普及・支援(Q21)

Q30・Q31では、健康経営に関する情報を従業員へ発信することに加え、その理解を深めるための工夫が求められます。

Q20では、自社の従業員だけでなく、他社からの派遣社員等や従業員の家族へ健康支援を広げる取り組みが求められています。

Q21では、グループ会社を含む他社に対し、健康経営の普及・支援に取り組むことが求められています。

これらの変更を整理すると、令和8年度調査では、まず健康経営を社内へ浸透させること、次に自社従業員以外にも健康支援を行うこと、さらにグループ会社等の健康経営の推進を支援することが重視されています。

次章では、この3つの主要変更点について、該当する設問の内容と企業に求められる対応を具体的に解説します。

2.令和8年度健康経営度調査の3つの主要変更点

変更点① 従業員への健康経営の理解・促進がホワイト500認定要件に

該当設問

・Q30 従業員への健康経営の理解・促進
・Q31 健康経営に対する理解を深める工夫

 令和8年度調査では、「従業員への健康経営の理解・促進」がホワイト500認定要件として位置付けられました。Q30では健康経営に関する情報発信の実施状況が、Q31では従業員の理解を深めるための取り組みが評価されます。これまで分散していた設問が整理され、「健康経営の理解促進」という観点で評価されるようになった点が特徴です。

Q30:多様な発信方法と発信主体を組み合わせる

Q30では、健康経営に関する情報をどのような方法で、誰が発信しているかが問われます。ホワイト500では、管理職向けと従業員向けの両方に情報発信を実施していることが認定要件となるため、対象に応じた多様な方法を用意することが重要です。

情報発信には、経営トップ・経営層、健康推進担当者、管理職、健康リーダー、医療職など複数のプレイヤーが関わります。自社の健康経営推進体制を踏まえ、誰から誰に情報を届けるのか、全体像を整理しておく必要があります。

発信形式も、メール、通達、社内報、所報などの文書、Web社内報やeラーニングなどの動画、会議体、研修、朝礼などの口頭形式までさまざまです。

重要なのは、調査票の選択肢を埋めることだけを目的にしないことです。自社の組織体制、既存の会議体、従業員が日常的に利用する媒体を踏まえ、管理職と従業員に確実に届く最適な情報発信方法を検討することが不可欠です。

Q31:情報を伝えるだけでなく、理解を深める

Q31では、管理職と従業員のそれぞれに対して、健康経営への理解を深めるためにどのような工夫を行っているかが問われます。調査票の内容を整理すると、取り組みは次の3つの観点に分けられます。

① 健康経営の方針に対して意見を引き出す
健康経営は会社が一方的に推進するだけでなく、管理職や従業員の意見を取り入れながら進めることが重要です。

例えば、

・健康経営に関するアンケートを実施する
・健康経営に関する会議体へ参加してもらう
・方針策定時に意見募集を行う

といった取り組みが該当します。

② 職場の実態について共有・議論させる
健康経営への理解を深めるためには、自社や職場の現状について共有し、議論する機会を設けることも重要です。

例えば、

・管理職会議で各職場の取り組み状況や好事例、課題を共有する
・管理職と管掌役員との間で、働き方や職場の健康づくりに関する討議を行う
・職場会議で健康経営をテーマに話し合う

といった取り組みが考えられます。

③ データを基に課題認識を持たせる
健康経営を自分事として捉えてもらうためには、現状をデータで示し、課題認識を促すことも有効です。

例えば、

・健康施策への参加状況
・生活習慣の実態
・健康関心事項の傾向

などを整理した職場別の健康レポートを共有することが挙げられます。

また、職場別の健康レポートを共有して終わりではなく、それを踏まえて職場の健康づくりに関する計画づくりと実践に繋げていくよう仕組み化していけると、価値の高い取り組みになるでしょう。

WILLEEでは、Q31の趣旨を「意見を引き出す」「職場の実態を共有・議論する」「データを基に課題認識を持たせる」の3つとして捉えています。Q30で情報を届けQ31で対話やデータ共有を通じて理解を深めるという流れをつくることが、健康経営の社内浸透につながります。

変更点② 派遣社員等・従業員の家族への健康支援がホワイト500認定要件に

該当設問
・Q20 他社からの派遣社員等や従業員の家族への健康支援

令和8年度調査では、「他社からの派遣社員等や従業員の家族への健康支援」がホワイト500認定要件として追加されました。なお、今年度は、派遣社員等への健康支援または従業員の家族への健康支援のいずれかを実施していれば要件を満たしますが、次年度は両方への健康支援が要件となるため注意が必要です。

派遣社員等への対応
健康イベントや健康アプリを実施していても、利用対象が自社従業員に限定され、派遣社員等が参加できないことで、職場内での盛り上がりに躊躇が生まれるというケースもあります。

まずは現在の施策ごとに対象者を確認し、派遣社員等も利用できる健康アプリやイベント運営方法へ見直せないか検討していくことが求められます。

従業員の家族への対応
健康保険組合が実施する家族向けの保健事業があっても、案内が十分でないために、参加率が低迷しているというケースもあります。健保任せにするのではなく、会社が従業員を経由して家族に案内を行うことが不可欠です。また、会社側でも家族も参加できるイベントなど施策を検討していくことが求められます。

令和9年度調査も見据え、派遣社員等と従業員の家族のどちらか一方にとどめず、両方への支援を段階的に強化していくことが重要です。

変更点③ グループ会社への健康経営支援がより重視される

該当設問

・Q21健康経営の普及・支援

令和8年度調査では、ホワイト500認定要件として「トップランナーとして健康経営の普及・支援に取り組んでいること」が位置付けられています。Q21では、グループ会社や取引先等に対する健康経営の普及・支援について問われ、特にグループ会社への支援では、方針策定から施策実施、結果の分析・フィードバックまで、健康経営のPDCA全体を支援する取り組みが評価対象となっています。

設問の選択肢をPDCAで整理すると、支援内容の全体像を捉えやすくなります。

  • PLAN:健康経営の推進方針や目標、KGIの設定を支援する
  • DO:健康施策やノウハウ、ツール等の提供を支援する
  • CHECK:取り組み結果の分析やフィードバックを行う
  • ACTION:結果共有を通じて次年度の計画に活用する

これらのPDCAを継続的に推進するため、グループ会社に健康経営推進担当者を設定してもらい、グループ横断の委員会を設置・運営するほか、担当者を個別に教育・支援していくことが重要です。

これから取り組む場合は「DO」から
グループ会社ではこれらPDCAをしっかり回すリソースが人的にも金銭的にも十分でないことがよくあります。そのため、まずはグループ共通の健康イベントや研修の開催、健康施策のノウハウ共有、健康管理システムやアプリなどのツール提供といった、各社が参加しやすい取り組みから始めることも有効です。

そして、こうした施策の展開を通じてグループ各社との接点をつくりながら、施策の参加状況を各社にフィードバックする、各社の健診・ストレスチェック等の集計や分析を支援するなど、「CHECK」の取り組みを増やしていくことができるでしょう。

PDCAの順番で進めることが重要ではなく、グループ各社の温度感を高めながらサポートを増やしていくことが重要です。

3.WILLEEの支援

令和8年度健康経営度調査では、従業員への理解促進、派遣社員・家族への健康支援、グループ会社への健康経営支援など、これまで以上に健康経営を「浸透させる」「広げる」取り組みが求められるようになりました。

WILLEEでは、健康経営度調査への対応だけでなく、こうした取り組みを実践するための支援も行っています。

① 健康経営の社内浸透支援

  • 経営層からのメッセージ発信支援
  • 管理職や健康推進担当者向けの説明会・研修
  • 社内広報・インタビュー記事等を活用した浸透支援
  • 健康風土醸成に向けた推進体制づくり

などを通じて、既存の会議体や研修、社内報などを活用しながら、健康経営が一部の担当者だけの取り組みではなく、経営層・管理職・従業員へ浸透していく仕組みづくりを支援します。

② 派遣社員・従業員の家族を含めた健康施策の設計支援

  • 従業員・家族を対象とした施策の企画
  • 健康保険組合との連携支援
  • 情報発信・周知方法の見直し

などを通じて、自社の施策を棚卸ししながら、派遣社員や家族も含めた形で展開できるテーマや施策を整理し、段階的な対象拡大を支援します。

③グループ一体での健康経営の推進支援

  • グループ共通方針・KGI/KPIの策定支援
  • グループ会社別KPIレポートの作成
  • グループ会社向け勉強会や研修の企画
  • グループ横断会議体の運営支援
  • グループ各社の認定取得支援

などを通じて、グループ各社の状況に応じて、グループ共通方針やKPIの策定(PLAN)から、施策展開(DO)、結果の可視化・分析(CHECK)、改善活動(ACTION)まで、グループ健康経営の推進を支援します。

令和8年度健康経営度調査では、健康経営を社内へ浸透させること、自社従業員以外へ支援を広げること、グループ会社の健康経営を支援することが、これまで以上に重視される内容となりました。

調査票への回答は、自社の健康経営を見直す絶好の機会です。変更点を正しく理解し、認定要件とのギャップを把握しながら、計画的に準備を進めていきましょう。
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