トピー工業株式会社(以下、トピー工業)は、鉄鋼事業と自動車・産業機械部品事業が、素材部門と加工部門として連携し、素材から製品までの一貫生産を実現している「鉄をつくり、鉄をこなす」会社である。
同社は健康で安心して社員が能力を発揮できる環境を整備し、会社および職場の魅力を高めるため「健康経営」に取り組んでおり、「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」を取得。
WILLEE代表の田澤は2022年からトピー工業の戦略立案をサポートし、2023年からはコンサルタントの堅田も加わり、実行をサポートしている。
今回、トピー工業 人事部 健康安全・社員労政室の武藤様、同室・健康安全推進グループの齋藤様、吉田様、森川様に、トピー工業の健康経営の取り組みについて語ってもらった。
戦略マップの作成をはじめ、具体的にどのように健康経営の取り組みを進めていくべきか苦慮していた
―健康経営をどのような位置付けで捉えていらっしゃいますか。
武藤:私はもともと技術職だったので、安全に関しては日頃から留意して業務を進めてきましたが、健康に関してはそこまでの知識がありませんでした。健康経営の担当となり、勉強を重ねるなかで、社員の健康が会社の生産性向上や持続的な発展に不可欠だと考えるようになりました。今では健康経営を経営戦略の重要な柱の一つとして位置づけ、全社一丸となって推進しているところです。社員に協力してもらうことは少し大変ですが、会社が率先して社員一人ひとりの健康をケアすることはとても重要な意味があると考えています。
吉田:当社は以前から健保と連携したTHP活動をはじめ、ウォーキングイベントなど社員の健康づくりに取り組んできた経緯があります。ただ私自身、健康経営の担当となった当初は健康経営という視点から社員の健康を考えることについて、何から取り組めばよいのか戸惑いがありました。会社としては「社員の皆さんに健康になってほしい」「健康になった上で、プライベートも仕事も充実した人生を送ってもらいたい」と考えており、それが会社の利益にも繋がっていくと考えています。社員の健康を社員自身だけの問題とせず、会社側でしっかりとサポートしていく必要性を感じていました。
―WILLEEにサポートを依頼する前はどのような課題を抱えていましたか?
武藤:当社は2020年から健康経営の取り組みをスタートしており、健康経営の必要性は理解していたものの、具体的にどのように進めていくべきか迷いがありました。調査票の内容を吟味することから始めましたが、膨大な調査項目に圧倒され、どこにポイントを絞って始めれば良いのか、事業所ごとの状況をみながら今後の方針をどう決めていけば良いのか悩んでいました。また、各事業所の推進担当者が参加する健康推進協議会を毎月開催していたものの、安全重視の製造現場にどう健康の重要性を伝えていけるかも課題として感じていました。
吉田:健康経営の理解が進むほど、やりたいことややるべきことが多く、アクションを起こすにもどこから手をつけていくべきか本当に悩みました。これまでの取り組みをベースに構想を描いたものの、本当にこの全体像で良いのだろうか、戦略マップの作成はどうしていくか、などを考えており、本当にモヤモヤした状況が続いていました。
WILLEEに依頼した決め手は、伴走推進パートナーとして手厚いサポートを実施してくれること
―WILLEEに依頼することを決めた理由は何でしたか?
武藤:WILLEEは、知り合いの会社から紹介していただいたのがきっかけで知りました。初めてWILLEEの田澤さんと面談をさせていただいた時の第一印象が良かっただけでなく、WILLEEは健康経営のノウハウが豊富で、戦略立案から実行まで一気通貫でサポートしてくれると聞き、強力な伴走推進パートナーになると感じました。また、当社の実態をしっかりと分析した上で的確なご提案をいただけるという点も魅力的でした。私たちだけでは難しかった体制の強化や施策展開を一緒に進めてもらえると思ったのが決め手です。
健康経営の太い幹を作り、健康経営に関わるすべてのステークホルダーに理解を促していった
―WILLEEがサポートに入って以降、これまでにどのような取り組みをしてきましたか?
武藤:2022年度の戦略立案フェーズでは、社長や専務の意見も伺いながら、健康経営の目指す姿を整理し、どのようなKPIをモニタリングしていくかを決めていきました。そして、データ分析で明らかになった健康課題や取り組み課題を踏まえ、その解決に向けた施策全体像を検討し、それらを戦略マップに落とし込んでいきました。
吉田:健康経営の推進においては、社員が自分ごととして捉えられるようにすることが重要と考え、心身の健康や生産性に影響を与える健康行動7項目を「Active7」というキャッチフレーズに整理しました。それによって、健康経営の多様な施策がこの「Active7」に紐づけて発信できるようになり、社員の理解もしやすくなったと感じています。
また、社員がこの7項目の中から毎年1つ選択し、自らの健康チャレンジ目標を立てる「My健康宣言」の取り組みを実行してもらうことで、一人ひとりの健康意識の向上や行動変容を促し、健康リスクの低減・生産性の向上を図っています。
―実行フェーズで特に力を入れてきた取り組みも教えて下さい。
武藤:2023年度からは戦略に基づく実行フェーズとして、リスタートしました。そのなかで推進体制の強化と健康経営の取り組みを全社で進めていくために、各事業所にウェルネスリーダーを配置しました。ウェルネスリーダーには社員一人ひとりに施策を落とし込むための協力をしてもらっていますが、そのウェルネスリーダーに直接会って健康経営の方針や協力して欲しいことを伝えるために、全国に5つある事業所を一つひとつまわりましたね。その際にはWILLEEの田澤さんと堅田さんにも同行していただきました。
その他にも、全社員向けの健康経営説明会を実施しました。私たちが各事業所を直接訪問し、全社員に対面で健康経営の意義や取り組み内容を伝達していきました。これらの取り組みによって、健康経営の考え方を社内に浸透させていけたのではないかと考えています。
齋藤:2021年度から毎月開催している健康推進協議会も、年2回はオンラインではなく対面開催とし、健康課題の理解を図ったり、健康施策一つひとつをどう工夫して進めていけるかを討議したりと、健康経営に向き合う時間をしっかりとるように変更しました。もちろんオンライン開催の場合も一方的な情報共有にならないよう、論点を明確にして討議を行う場としています。協議会で議論した内容を事業所に持ち帰っていただき、ウェルネスリーダーとの連携を図りながら、事業所内での施策展開や事業所独自施策の企画・推進を図っていく仕組みがこの1年でより機能するようになりましたね。
森川:社内への浸透体制づくりを進めながら、並行して「Active7」に紐づく多様な施策も推進していきました。健康アプリの登録・利用活性化、ウォーキングイベントの定期開催、野菜摂取量測定、睡眠教育、敷地内禁煙に向けた周知活動やルール作り、タバコに関する教育や禁煙プログラムの導入など、2023年度からの新規施策が大半で、かなり大変な1年でした。施策一つひとつを意義ある形で推進するため、各事業所を訪問してヒアリングを行うなど、現場理解が最も重要だという気持ちで取り組んでいます。
堅田:各事業所の推進担当者やウェルネスリーダー、そして全社員を巻き込むための仕組みづくりと働きかけを愚直に行ったことで、健康経営がすごく回り出したという印象がありましたよね。実際に各事業所に足を運んで丁寧に説明をされているのも信頼関係を構築する上で大きなポイントになっている気がしますね。このような取り組みは現場を大事に考えられている貴社ならではの本当に素晴らしい部分だと感じています。
―さまざまな取り組みを進めてきたなかで、WILLEEが伴走する価値をどのように感じられていますか?
武藤:戦略立案の段階から実行まで深く関わっていただき、アンケート設計やデータ分析まで手厚くサポートいただいています。私たちの考えを理解しつつ、客観的な視点からアドバイスをくれるので、健康経営の方向性がブレずに進められています。特に、毎月の経営層への報告資料作成などでは、WILLEEに作成いただいた資料を活用することで、経営陣にもわかりやすく健康経営の取り組みについて説明することができています。自分たちで全て作成するとなるとなかなか難しいところがありますが、WILLEEのサポートのおかげで非常に助かっています。
齋藤:各施策の企画・運営面でも大変お世話になっており、私たちの手が回らないところをカバーいただいているので本当に助かっています。各事業所とも連携しながら施策を進めていくなかで、WILLEEがあらゆる場面でサポートしてくださっているのは本当にありがたいですね。
吉田:多くのサポートを実施してもらっていますが、何かあった時にすぐに相談できる先があるというのは私たちにとっては非常に大きいです。定例会以外でも、何か問題が発生した時にメールや電話をするとすぐに対応していただけますし、私たちだけでは判断が難しい場合に他社の事例などを踏まえて方向性を提示してくれるのでいつも本当に助かっています。
森川:他社の事例を紹介するだけでなく、当社の状況や課題をしっかりと理解した上で、寄り添ったサポートをしていただいているところが非常にありがたいです。事業所ごとに特性が異なり、足並みを揃えるのが難しいこともあるなかで、それぞれの実情に合わせた最適解を一緒に検討していただけるのは本当に助かっています。
健康経営に対する熱量が高まり、推進スピードが向上した
―WILLEEのコンサル導入前と後で、社内にどのような変化が生まれましたか?
武藤:経営層の意識が大きく変化したと感じています。健康経営の戦略に基づき、具体的な取り組みが進むなか、社内を巻き込む難しさなども見えてきたことで、健康経営に対する経営層の理解も深まっていますし、私たち以上に経営層が健康経営について真剣に考えているときもありますね。そのため、健康経営の取り組みを進めるうえで確実に協力が得られるようになってきましたし、私たちもより活動しやすくなったのは大きな変化ですね。
吉田:以前はやらなければいけないと考えているものの、十分な分析ができていなかったこともあり、具体的にどこにポイントを置いて実施すればよいか決め手に欠けるような時もありました。それがWILLEEのデータ分析のおかげで、課題が明確になり、他社の取り組み事例なども参考にしながら、迷わず取り組むことが出来るようになりました。各事業所の推進担当者も、データから見える事業所ごとの課題を基に、自分たちで考えて健康経営を進めていこうという意欲が日々増しているように感じます。
森川:毎月、事業所別の施策推進状況をデータで示すことで、事業所側での具体的な改善アクションへ繋がることが徐々に増えています。健康アプリ1つ取っても、登録の声がけを強化している事業所では毎月着実に数値が伸びていますし、アプリを用いた独自イベントの企画なども増えてきており、健康経営の推進スピードが上がってきていますね。
田澤:経営層、事業所の推進担当者の皆様と毎月対話する仕組みのうえに、事実を伝えるデータと皆様の想いが乗ることで、上手く進むようになったのではないかと思います。当初からの熱量が格段に高まったのを我々も感じており、とても嬉しい限りです。
実行フェーズの1年間で、健康経営を推進するコツが分かってきた
―戦略を基に2023年度から健康経営をリスタートされましたが、1年間推進したなかで見えてきたものはありますか?
吉田:この1年、多くの取り組みが新しく、かつ多様な取り組みを並行して進めなければならない状況で、WILLEEの力を借りながら何とかやりきることができました。2022年度末に立てた推進計画を踏まえながら、一つひとつの取り組みを進める段階では、会社や事業所の実態に合わせて微調整をかけながら進めていく必要がありました。1年間取り組んだ結果、関係各所と連携しながら健康経営を上手く進めていくコツが何となくつかめてきましたし、今後も常に微調整は必要になると思いますが、どのようなことがあっても前進させていける自信のようなものが持てています。
齋藤:1年間取り組んだことで、施策の推進や推進体制の運営それぞれにおいて、質を上げられる部分、オペレーションを改善できる部分なども見えてきました。今年度はその学びを活かしてブラッシュアップを図っていき、より本質的な健康づくりに繋げていく活動にできたらと思っています。
堅田:事業所側の主体性を尊重しつつ、事務局の皆様がうまくバランスを取って推進していけるよう、「こうしていくと各事業所で上手く進めることができるんじゃないか」という仮説の精度を我々WILLEEとしても高めていきたいと思っています。そのためには、より一層貴社理解を深めていく必要があると感じています。
社員一人ひとりへ健康経営の理解を促し、継続的に推進する土台を作り上げていきたい
―今後の健康経営の推進に向けた意気込みを教えてください。
武藤:これまでの取り組みが一定の評価を得られてきていると感じていますが、まだまだ上を目指していきたいと考えています。将来的には「ホワイト500」の認定を取得できるレベルに到達できるよう、今できることを着実に積み重ねていきたいです。
齋藤:引き続きWILLEEのお力をお借りしながら、今後も継続して効果的な施策を打ち出していきたいです。より主体的に社員が健康づくりに取り組んでもらえるように、健康経営の理解を促していきたいと考えています。いずれ私たちから事務局担当者が代わっても継続して取り組めるよう、しっかりとした健康経営の土台を作り上げていきたいですね。
―WILLEEのサービスはどのような会社にあっていると思いますか?
吉田:すでに健康経営に取り組んではいるものの、なかなか成果が出ていないという企業にはオススメです。社内リソースが不足し、健康経営がなかなか軌道に乗らないという企業は、ぜひWILLEEに相談してみてください。専門的見地からの適切なアドバイスと伴走支援で、必ず健康経営の推進力が高まるはずです。
武藤:これから健康経営を始めようという企業にも、WILLEEのサポートを受けてみることをオススメします。私たちも当初は手探りの状態からのスタートでしたが、WILLEEとともに取り組むことで健康経営に関する取り組みを大きく前に進めることができました。健康経営の入り口に立たれた企業は、ぜひWILLEEに依頼してみてください。
(撮影・取材・文/小町 ヒロキ)