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2023/12/27

健康経営度調査フィードバックシートの活用方法
~どのように自社の課題を特定し、次年度に活かしていくか~

健康経営は継続的にPDCAを回していく取組みです。健康経営度調査に回答した法人に対しては、毎年12月に速報版、翌3月に確定版のフィードバックシートが送付されますが、その結果も活用しながら、経営層や社内関係者への更なる協力依頼や、戦略・計画の見直し、予算の確保など、次年度の取組みに繋げていくことが重要です。

本稿では、フィードバックシートをどのように活用して次年度に活かしていくかについて解説します。

1.フィードバックシート活用ステップ

フィードバックシートは経営層や社内ステークホルダーと会話する大きなチャンスです。
如何に効果的に活用するか、が次年度の健康経営を左右すると言っても過言ではないため、本稿を参考に取組んでいただけたら幸いです。

以降では、「比較・評価」→「課題抽出」→「対応策検討」の3ステップで解説していきます。

2.比較・評価

フィードバックシートでは、側面別、項目別の偏差値が、「貴社」「回答法人全体トップ」「業種トップ」「業種平均」で提示されています。

「貴社」の偏差値を、どの偏差値と比較するのが良いのかは、健康経営の推進レベルによって異なってきます。

以下に、各偏差値と比較する意味合いについて説明します。

「回答法人全体トップ」との比較

健康経営銘柄を狙うような企業におススメの比較です。

各項目において偏差値アップの伸びしろがどれほどあるかを把握するのに活用できます。

例えば、「明文化・健康経営の戦略」、「情報開示・他社への普及」の自社偏差値が仮に62.0で同じであっても、前者は伸びしろ0.7、後者は11.8と違いがあります。
この場合、前者よりも後者に力を入れてテコ入れしていくことで、総合評価のレベルアップに繋がりやすいため、当該項目の偏差値トップ企業を特定し、その企業の取組みを徹底的に研究することでレベルアップを図っていくことができます。

なお、毎年度3月の確定版フィードバックシートが返却されるタイミングで、健康経営度調査に回答した各社の偏差値データが公表されますので、そのデータより項目別の偏差値トップ企業を特定することが可能です。

「業種トップ」との比較

本質的な健康経営のレベルアップを図りたい企業におススメの比較です。

項目別に自社偏差値と比較を行い、ギャップの大きい項目があれば、それが本質的な意味でも弱点であることが多いです。
そのため、同業種における当該項目の偏差値トップ企業を特定し、業種ならではのどのような取組みを行っているのかを理解し、良い取組みがあれば自社に取り入れていくことができます。

「業種平均」との比較

健康経営をこれから始めるか迷われている企業、もしくは健康経営を初めたばかりで十分な体制・予算がない企業におススメの比較です。

「うちの会社は同業種平均と比べても悪い」という事実は経営層への説得材料として非常に有効になりますので、偏差値のギャップを解消するためにどのような打ち手を講じていくかを提示していくことで、健康経営を前に進めていくことができます。

「ホワイト500平均」との比較

フィードバックシートに載ってはいませんが、全ての企業におススメの比較です。

ホワイト500は、健康経営の推進レベルを高めていった先の1つの目標到達点になりますので、現在どのようなレベルの企業であってもおススメの比較先になります。
各項目においてどれほどのギャップがあるかを踏まえて、伸ばしていくべき項目を把握することができます。

以下は本コラム執筆時点(2023年12月時点)で把握できる令和4年度のホワイト500における平均偏差値になりますが、例年大きな変化はないと思われますので、一旦の比較先としてご活用ください。
なお、こちらも2024年3月になれば令和5年度のホワイト500の平均偏差値が把握できるため、その時点でアップデート予定です。

3.課題抽出

前章の通り、項目別の偏差値ギャップを算出したうえで、各項目において何が課題なのか、調査票上の”形式的な”課題と、実のある健康経営に向けた”本質的な”課題を抽出することをおススメします。

調査票上の”形式的な”課題

調査票の設問・選択肢への対応状況を振返り、今後対応していくべき課題を抽出します。
全ての選択肢に対応していくことは現実的ではなく、また本質を見失うことに繋がるため取捨選択していくことが必要です。

なお、調査票では、〇〇を実施しているか、〇〇を開示しているか、〇〇の数値はどれほどか、という回答法人すべてが回答できるよう設問・選択肢が作られており、取組みの質や工夫は問われていないため、あくまでも”形式的な”課題の抽出になります。

(例)

  • 経営トップからの発信ができていない
  • プレゼンティーズムが把握・開示できていない
  • 精密検査受診率が低い など

ちなみに、数値の良し悪しを判断するうえでも、ホワイト500平均との比較が効果的ですので是非ご活用ください。
以下は令和4年度のホワイト500平均になります。

実のある健康経営に向けた”本質的な”課題

前述した通り、調査票では取組みの質や工夫は問われていないため、実のある健康経営に向けては”本質的な”課題を別途抽出する必要があります。

改めて以下のような自問をしていただき、主観的で構わないので、解決していくべき課題を全て吐き出していきましょう。

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4.対応策検討

抽出された課題を基に、次年度どのような強化を図るべきか、を検討します。

検討したいこと

いつ、誰が、といった詳細な落とし込みまで行おうとすると途中で大変になって断念してしまうため、課題を踏まえて「どのようなことに取組んでいくべきか」、「どのような改善を加えていくべきか」を考えることに徹することをおススメします。

例えば、経営層の本気度が上がりきっていないのであれば、どのような対応を進めていくべきでしょうか。

  • 経営層1人ひとりの理解を深めるため、個別に時間をもらって心身の不調者の発生状況の実態を説明する
  • 経営層自身に健康づくりを意識してもらうため、健康インタビュー記事を書かせてもらう
  • 従業員の意見・実態を伝えるため、アンケートで生の声を纏めて経営会議に提示する
  • 経営会議を報告の場で終わらせないため、経営層に施策をトライアルしてもらったうえで意見を伺う

など、課題解決に繋がる取組みや改善策を考えていきましょう。

対応の優先順位付け

各項目の偏差値がすべて低く、対応すべき課題が山積みだった場合は、どの項目から対応していくか、優先順位付けが重要です
すべての項目の偏差値を上げるべく、課題に一気に対応しようとすると無理が生じますので要注意です。

優先順位付けについては、以下をご参考にされてください。

健康経営度調査回答法人の総合順位のレベル別(1~500位、501~1,000位、1,001~1,500位、・・・・)に、項目別の平均偏差値を算出。
そのうえで、レベルアップを図るには、どのくらいの偏差値アップが必要か、差分を算出したグラフを作成。

見方として、例えば「1-2_情報開示・他社への普及」であれば、より上位を目指す段階で大きく偏差値を伸ばしている、「3-3_保健指導」であれば、下位の段階で大きく偏差値を伸ばしており上位を目指す段階での偏差値アップは少ないということが分かります。

この結果から、以下のような対策の優先順位付けが考えられます。

    • 2,000位内を目指していくレベル
      →まずは「2-2_実施体制」「3-1_目標設定、健診・健診等の活用」「3-2_健康経営の実施に向けた土台づくり」「3-3_保健指導」「4-1_健康診断・ストレスチェック」「4-2_労働時間・休職」の偏差値アップに主眼を置いた対策を検討することが望ましい。
      (つまり、体制と計画を整えたうえで、産業保健として行う基本的な取組みを強化していく)
    • 1000位内を目指していくレベル
      →上記に加えて「1-1_明文化・社内浸透」「2-1_経営層の関与」「2-3_従業員への浸透」「3-4_生活習慣の改善」「3-5_その他の施策」を含めて対策を検討することが望ましい。
      (つまり、全社員の健康増進に向けて施策の幅を拡げつつ、社内への浸透を進めていく)
    • 500位内を目指していくレベル
      →「1-2_情報開示・他社への普及」「4-3_課題単位・施策全体の効果検証・改善」を含めて取組みを強化する。
      (Plan、Doだけでなく、Check&Action、Discloseもキッチリと取り組む)

以上を踏まえて、最終的には以下のような一覧を作成し、経営報告資料への落とし込みや、次年度の年間計画の作成などに繋げていくことが望ましいです。

5.WILLEEの支援

弊社では、お客様に伴走しながら一緒に健康経営のPDCAの型作りを行っています。

本稿でご紹介したフィードバックシートの活用局面においては、以下のようなサポートも行っており、健康経営のレベルが毎年着実に向上していくことに貢献しています。

「比較・評価」:お客様のベンチマーク企業群の偏差値や取組みなどとも比較

「課題抽出」:お客様の取組み状況を客観的に分析し、本質的な課題を整理

「対応策検討」:テーマごとの先行事例を踏まえ、課題解決に繋がる対応策を検討

株式会社ウィリーでは、何か特定のサービスに誘導するということは一切なく、完全中立的な立場で、成果導出に向けた健康経営の戦略づくりから実行・効果検証までの一連をお手伝いさせていただいております。
これから健康経営に取組む場合、健康経営の見直しを図りたいと考えている場合、いずれであっても、顧客に寄り添いながら伴走型でサポートを提供しております。
知見・リソースが限られ、毎年モヤモヤしている企業様に光を照らします。
是非お気軽にお問合せください。