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2023/02/14

健康経営戦略マップの作り方 
コンサル現場で用いる8ステップ徹底解説

2020年度の健康経営度調査から、健康経営戦略マップの作成が求められるようになったのは記憶に新しいかと思います。
健康経営優良法人に認定された法人のうち戦略マップを作成している割合は、2020年度は48%、2021年度は49%という状況であり、約半数がまだ戦略マップがない中で健康経営に取組み、そして健康経営優良法人を取得しているという状況です。
また戦略マップを作成済みの法人においても、ホームページでの発信情報を見るに、取って付けたような戦略マップとなっているものも多く、効果検証ができる、また成果に繋がるような戦略マップになっていないと感じるケースも少なくありません。

本稿では、これから戦略マップを作る健康経営推進担当者様向けに、弊社が健康経営コンサルティングの現場経験を通じて培ってきた8ステップでの戦略マップの作り方を解説します。
戦略マップの見直しを考えている担当者様にもお役立ちいただけるものとなっていますので、是非最後までお読みいただけると幸いです。

1. 健康経営戦略マップの基本構造

まずは健康経営戦略マップが、健康経営戦略づくりの全体像においてどのような位置づけであるかを解説します。

詳細はこちらのコラム(健康経営の「戦略」とは何か?健康経営戦略として検討・整理すべきことを全体解説)にて解説していますが、健康経営を推進するためには、健康経営の「目的」→「戦略」→「施策」→「体制」→「基盤」を検討し、施策・体制・基盤の推進に向けた具体的な「計画」を整理することが欠かせません。

この全体整理ができているのとできていないのとでは、健康経営推進時のPDCAの回り方が大きく異なってきます。

本稿で解説する健康経営戦略マップは、この一連の検討プロセスにおける、「目的」→「戦略」→「施策」のポイントとなる部分を1枚絵で図示化するものになります。

なお、健康経営投資会計ガイドラインにおいて、健康経営戦略マップの雛形が提示されていますが、その雛形においては、まさに「目的」→「戦略」→「施策」を記載する欄が設定されています。

しかし、この雛形を渡され、いきなり健康経営戦略マップを作れと言われても、どう進めて良いのか分からないことが多いのではないでしょうか。

次章で解説する健康経営戦略マップの最適な作り方を参考にしていただけると、自社の状況に即した健康経営戦略マップを作成していくことが可能となります。

2. 健康経営戦略マップの作り方8ステップ

本章では、健康経営戦略マップの具体的な作り方の8ステップを解説します。

これは弊社が健康経営コンサルティングの現場で数多くの戦略マップ作成のお手伝いをする中で磨き上げてきたベーシックな進め方になりますので、多くの会社でご活用いただける方法となっています。

しかし、会社のミッションや市場での役割、推進している事業などに応じて多少作異なるケースもありますので、その点はご承知おきください。

また、各ステップに挿入されているスライドにおいては、健康投資管理会計ガイドラインの雛形とは若干異なる表記を用いていますが、戦略マップを作成するうえで分かりやすくしたものですので、その前提でお読みください。

Step1 健康経営の目的(=目指す姿)を決める

まず1番最初に検討・整理すべきであるのが、健康経営に取組む目的(=目指す姿)です。これがしっかりと定まっていないと、健康経営が迷走します。

健康経営を通じて従業員やそれを取り巻く職場にどうなっていて欲しいのか、その結果自社がどうなって欲しいのか、健康経営の目指す姿を具体的に言語化します。

既に色々な媒体で発信されている言葉があるかと思うので、それらを全体整理することから始めていきます。

また、健康経営だけでなく、働き方改革やダイバーシティ&インクルージョン、人材育成などと掛け合わせた人材戦略が発信されていることもあります。
そのため、それらの要素をすべて加味した1枚の全体絵を整理すると、健康経営の位置づけや健康経営で何を目指すのかが明確になります。

Step2 戦略(=進む方向性)をロジックツリー化する

Step1で定めた健康経営の目指す姿を踏まえ、その実現に向けてどう進めていけば良いか、方向性を整理していきます。

目指す姿が実現されたとき
→従業員はどのような状態で働けていると良いか
→そのためにどのような健康状態でいると良いか
→そうなるためには日々どのような意識・行動をとっていると良いか
というようにブレイクダウンして整理していくことで、ロジックツリーを作成していきます。

Step3 ロジックツリーをすべて指標化する

Step2で戦略ロジックツリーが整理できたら、各ツリーで言語化された状態を的確に表す指標化を行います。

指標化においては、確実にデータ収集・把握が可能なものを設定する必要があります。

できる限り健診やストレスチェックなどで取得できているデータ、もしくは健診やストレスチェックの追加設問等で取得可能なデータを用いた方が従業員側の負担が少なく、かつ全従業員のデータを集めやすいというメリットがあります。

しかし、それが難しい場合は健康経営アンケートのような形でデータを新規収集する必要もあるため、指標化の際には、どのように把握を行うのかまでしっかりと設計しておくことが不可欠です。

Step4. 指標間の相関性を分析し、指標を調整する

Step3の指標化を踏まえ、実際に指標間に相関性があるのかを検証します。

指標化に用いるデータを用いて分析を行い、実際に相関性があれば指標のつながりは妥当と判断され、一方で相関性がなければ指標の設定方法などを調整します。

具体的には、1つ1つの要素を表す指標ではなく総合的な指標を作成した方が良いのではないか、全社の平均値ではなく一定水準を超えた社員割合を指標にした方が良いのではないか、などデータ分析による検証結果を踏まえた調整が必要です。

この作業を怠ると、効果検証の結果として望ましい成果を見出せず健康経営のモチベーションが低下する、健康経営度調査で良い評価が得られなくなるなどの可能性がありますので、戦略マップを作成する段階で指標間の相関関係を検証しておくことが重要です。

Step5 今までの健康施策を紐づける

Step4で戦略を表す指標の幹が固まったら、今までの健康施策がどの指標改善に紐づいているかを整理します。

今まで取り組んできた健康施策の棚卸しをしつつ、指標改善に寄与していると思われる健康施策を紐づけていきます。

また従業員の施策参加状況を表す指標として、現状において測定可能な指標が何か、もしくは現状測定できていないが今後測定すべき指標が何かを整理し、健康経営戦略マップ上に記載していきます。

Step6 指標の過去からの推移を検証する

Step5までで整理されたすべての指標について、過去からの経年推移を整理します。

コロナ禍で仕事や生活のスタイルが大きく変わったため、コロナによる変化が起こる前の2019年度まで少なくとも遡れると、リアルな実態が見えてきます。

従業員の施策参加率がどう変わってきているのか、従業員の意識・行動、健康状態や業務パフォーマンスがどう変わってきているのか、を踏まえて、健康施策の改善ポイントを整理していきます。

Step7 健康施策の強化・廃止・追加を検討する

Step6で整理された健康施策の改善ポイントを踏まえ、今後における健康施策の強化・廃止・追加を検討します。

「強化」の視点においては、Why(目的)、Whom(対象)、What(内容)、How(方法)、When(時期・頻度)、Where(場所)について見直していくことで、指標改善に寄与する効果的な施策へとブラッシュアップしていくことができます。

「廃止」の視点においては、一部従業員にしか利用されない施策、回数が多すぎる施策、他施策と内容や時期がダブっている施策、などが対象となります。
過去にとらわれているとなかなか廃止という決断が難しいですが、「強化」「追加」の健康施策と天秤にかけ、やらないことを決める必要があります。

「追加」の視点においては、多様なフレームワークを用いて既存施策全体像を整理したうえで、穴の開いてしまっている箇所を理解し、それを補完する形で新規施策を検討することが望ましいアプローチです。
具体的なフレームワークは以下の通りです。

Step8 戦略マップを修正し、完成させる

Step7で強化・廃止・追加施策が整理できたら、再び戦略マップに戻ります。

健康施策及び従業員の施策参加率等を表す指標を修正し、従業員の意識・行動を表す指標への繋がりも修正することで、戦略マップが完成します。

以上の8ステップが、自社の状況に応じた最適な健康経営戦略マップの作り方です。

次章では、作成した健康経営戦略マップをどのように活用していくと良いのかについて解説します。

3. 健康経営戦略マップ作成後の効果的な活用方法

健康経営戦略マップは、健康経営の立上げ時、推進時、検証時の3フェーズにおいて、効果的に活用していくことができます。

弊社が健康経営のコンサルティングを行う場合も、常に戦略マップに立ち返ってお客様をご支援しています。

[立上げ時] ステークホルダーとのベクトル合わせを行う

健康経営の推進に関わるステークホルダー、特に事業場の推進担当者や職場の健康リーダー、労働組合メンバー、産業看護職など実務上の連携を図っていくメンバーとは、健康経営推進のベクトル合わせが不可欠です。

そのため、健康経営をこれからスタートもしくはリスタートする時点で戦略マップを活用することによって、「健康経営としてどのような姿を目指し、どのような指標改善を目指して、どのような施策に取り組んでいくのか」、共有認識を図っていくことが重要です。

[推進時] 健康施策毎に目的意識を再確認する

健康経営の推進が始まると、次から次へと実務が湧いて出てきて、目的を欠如した施策の推進になってしまいそうになることがよくあります。

そのため、実務推進メンバーで戦略マップを振り返ることによって、「何のためにこの施策を行うのか」という目的意識を再確認したり、「指標改善のためにはこの施策の参加率を高めていかないとならない」という高いモチベーションを維持したりすることが重要です。

[検証時] 効果検証すべきことを再確認する

健康経営においては、取組み効果を検証し、良い結果を社内に共有したり、想定と異なる結果は反省材料として次に活かしたりすることでこそサステナブルに推進することができます。

そのため、効果検証時に戦略マップを振り返ることによって、何を検証する必要があるのか抜け漏れがないよう再確認し、必要な検証作業を行うことが重要です。

以上が健康経営戦略マップ作成後の効果的な活用方法となりますが、戦略マップは健康経営を推進するうえでの幹となるものですので、上記以外のタイミングでも常に立ち返る意識を持つことをお勧めします。

4. まとめ

本稿でお伝えしたことをまとめると以下の通りです。

  • 健康経営戦略マップは、「目的」「戦略」「施策」を全体整理したもの
  • ベーシックな方法として8ステップで作成することができる
  • 健康経営の立上げ時、推進時、検証時などあらゆるシーンで振返ることが重要

自社の状況に合った健康経営戦略マップの作成に少しでもお役立ちいただけると幸いです。

株式会社ウィリーでは、何か特定のサービスに誘導するということは一切なく、完全中立的な立場で、成果導出に向けた健康経営の戦略づくりから実行・効果検証までの一連をお手伝いさせていただいております。
これから健康経営に取組む場合、健康経営の見直しを図りたいと考えている場合、いずれであっても、顧客に寄り添いながら伴走型でサポートを提供しております。

弊社では、健康経営戦略マップ作成に関する気軽な壁打ち相手になることが可能ですので、ご希望の方は、「お問い合わせ」にて「健康経営戦略マップ作成に関する壁打ち希望」の旨をご記載のうえご連絡いただければ幸いです。