1.健康経営コンサルティングが必要とされている背景
健康経営は、従業員等の健康管理や健康増進の取り組みを「投資」と捉え、経営的な視点で考えて、戦略的に実行する経営手法です。
昨今の企業を取り巻く以下のような外部環境の変化を踏まえると、取組まない理由はありません。
- 労働生産年齢人口減少に伴う人材獲得競争の激化・高齢社員の活用
- コロナ禍での劇的な事業環境変化に対応する人材・組織づくり
- 資本市場からの要請に基づく積極的な人的資本に関する情報開示 など
しかしながら、健康経営を推進するにあたっての大きな2つの難しさが存在します。
1つ目は、健康経営の推進にあたっては自社の現状(現在地)をしっかりと認識することとともに実現したい姿(目的地)を掲げ、その間の進むべき方向性(歩む道筋)を定めることが重要ですが、それを検討・整理することが難しいということです。
2つ目は、健康経営が働き方改革やD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)とは異なり、日常業務と直接的関係が大きくないように捉えられてしまうため、社内に浸透させていくことが難しいということです。
そのため、健康経営に取り組んでいるものの、以下のようなお悩みの声がよく聞こえてきます。
- 経営層から推進上の実務協力が得られない
- 社内の健康経営推進会議体はあるが一方通行の報告にとどまっている
- 専門職との協力・連携体制が築けていない
- 社員には会社からの押し付けのように捉えられてしまっている
- 施策を行う目的が欠如しておりパッチワーク的な実施になっている
- 検証項目が定まっておらず施策がやりっぱなしになっている
- 改善成果が出ていない、むしろ悪化してしまっている
- 解決したい課題が山積しているが何からどう対策を打てば良いかわからない
- 実力的にはホワイト500に及ばないが経営からはその取得を求められる
- 自分の熱量に対して周囲や結果がついて来ず、健康経営疲れを感じる
専門知見やノウハウ、マンパワーの強化がなければ、上述のお悩みを抱えたまま苦しい時間だけが過ぎる状況に陥ってしまいますが、そのお悩みを解消し、担当者に明るい光を照らしていくために存在するのが健康経営コンサルタントであり、それを抱える健康経営コンサルティング会社です。
Outcome Based Healthcare(成果を伴う健康経営)が健康経営度調査でも求められており、また人的資本の開示がスタンダード化してくる時代において、本気の健康経営を行うことが待ったなしの状況になりつつあります。
そのため、社内の事業部門が外部のコンサルティング会社を活用して事業の戦略立案や推進を行うように、健康経営においても外部コンサルティング会社を活用し、質の高い取組みを推進していくことが求められる時代になってきていると言えます。
なお、経済産業省が推進する健康投資ワーキンググループ第7回における資料において、健康経営をサポートするサービス分類についてまとめた資料が提示されています。
※出所:経済産業省 第7回健康投資ワーキンググループ 事務局説明資料①
この資料を見ると、多くのサービスが存在していることが改めて理解できます。逆に言うと、それを利用する企業においては、戦略・計画を踏まえて取り組むべきことの取捨選択や優先順位付けを行ったうえで、内製or外注の判断や、サービス事業者の選定を行っていく必要があります。
健康経営コンサルティングはこのサービス分類の左上に位置しています。
企業の健康経営推進パートナーとして、全体最適な戦略・計画の立案やその後の実行、効果検証・改善を支援していく極めて重要な存在であり、多様なサービス事業者をどう活用していけば良いかについても的確な方針を示していきます。
2.健康経営コンサルティングの価値
ここで改めて、健康経営コンサルティングとは何か、について整理します。
健康経営コンサルティングとは、
「①顧客の状況を的確に理解したうえで、②“健康”と“経営”の両方の知見・ノウハウをフル活用しながら、③顧客の抱える悩みやニーズに応じた助言・サポートを行うほか、顧客の気づけていない次なる一手を助言・サポートすることを通じて、④健康経営の目指す姿に向けて伴走していくもの」
と弊社では考えています。
上記の①~④の観点を補足すると、以下の通りです。
①:深く顧客理解を行うことでこそ、顧客に寄り添った価値の高い戦略・計画を作成することができる
②:従業員や組織の健康づくりに関する知見・ノウハウに加え、経営コンサルティングとしてのスキルやマインドセットを磨き続けることでこそ、顧客と信頼関係を築き伴走することができる
③:顧客が未だ気付けていないことを客観的に気付かせ、視座を高めていくことによってこそ、持続可能かつ成長し続ける健康経営に深化させることができる
④:認定取得が目的であってはいけない、目指す姿の実現こそがコンサルティングの目的・使命であり、そこに近づいていく過程で、結果としてより良い認定(ホワイト500やブライト500)が取得できる
また、健康経営コンサルティングを活用することの価値は以下のようなものがあります。
※弊社(株式会社WILLEE)のコンサルティングサービスご利用のお客様の声より抜粋
【株式会社日本取引所グループ様】
- 他社の先進的な取り組みや具体的な事例を紹介していただき、弊社の取り組みで優れているところや、取り組みが不足しているところを可視化してくれたことで多くの気付きが得られました。またJPXという会社の強みや弱みも分析していただいたので、様々な施策を打ちやすくなりましたね。そして一番大きかったのは全体のロードマップを一緒に引いてもらったことです。明確な道筋が見えることで目標が定まり、スケジュールやタスクが見える化されたため、仕事が進めやすくなりました。
- 深い議論を行った結果、JPXの現状に即した形でKPIを設定できたのは非常に大きかったですね。目標が明確になったことで、覚悟を持って臨むことができるようになりました。またミーティングを実施するたびに、健康経営に関するさまざまな情報を提供してくれるので大変助かっています。
- 企画書を本当にうまく作っていただいたおかげで、社員に対する説明が非常にしやすくなったと感じています。また健康経営に関してSDGsのロゴのようなものを作ってもらいましたし、キャッチフレーズなどを打ち出せたことで、今後も積極的に取り組めそうだという実感が持てましたね。
- 経営層に対して健康経営に関する提言ができたことは一つの大きな成果だと感じています。コンサルに入ってもらう前と後では明確に違っていて、健康経営に関して自信を持って社内へプレゼンテーションができるようになりましたね。
※インタビュー詳細記事:「社員に寄り添った健康経営を推進していきたい」WILLEEのコンサルティングで、社員がより健康でいきいきと働ける組織づくりを目指す
【株式会社ウィングアーク1st様】
- 1つ目は、しっかりとした効果検証ができており、今まで取り組んできたことの成果を認識できたことです。運動や飲酒や喫煙などの生活習慣はどれも改善しましたし、運動習慣が未だに悪い社員においても健康無関心層が減ってきていることが分かったのも良かったですね。ウォーキングイベントはじめ、全社を巻き込む働きかけを行ってきて良かったなと思いました。
- 2つ目は、今後注力すべき課題が明確になったことです。問診項目で測る生活習慣は全般的に良くなっているものの、会社全体の肥満率や有所見率は高まっていました。同じ状況にある他の会社も多いというお話をいただき、問診では把握できない身体活動量の低下については改めて課題があると感じました。今後の改善策として、弊社製品を活用した取組みアイデアなどを提示してもらえたのは有り難かったです。
- 自分の意見を押し付けるのではなく、我々の意見や考えを丁寧にヒアリングした上で、それに対する打ち手をいくつも提案してくれますね。我々に寄り添って、一緒に伴走してくれるスタイルなので、こちらとしても安心してお付き合いすることができています。
※インタビュー詳細記事:「健康経営が当たり前に行われている会社を目指す」ウィングアーク1stが目指す健康経営の理想像とそこに向けたWILLEEの支援
3.健康経営コンサルティングのサポート内容
健康経営コンサルティングにおいてどのようなサポートが期待できるのかは、コンサルティングサービスを提供している各社によって、内容やレベル、特徴が大きく異なっています。
弊社(株式会社WILLEE)では以下のようなサポートを行っています。
戦略・計画立案フェーズのサポート
- 現状の取組み課題の整理
- 目指す姿やKPIの設定
- 健康課題の整理
- 取組みの方向性検討
- 具体計画への落とし込み
実行フェーズのサポート
- 月次進捗管理
- PDCA実行支援(施策詳細化~告知~効果検証・報告)
- 専門的な知見提供
- 対外公表方針の整理
- 健康経営度調査回答
その他:健康経営着手前フェーズのサポート
- 土台作り(健康管理業務の改善など)
※関連サービス:健康経営コンサルティングサービス(WILLEE)
※関連記事:健康経営の土台作り ECRSの4原則を活用した健康管理業務の改善方法
いずれのフェーズにおいても、顧客が何を求めているか、顧客にこの先何が必要かを顧客の立場に立って考え、顧客の社内において着実に健康経営が前進していくよう解決策やアウトプットを提示していくことがコンサルティングサービスの特徴です。
またコンサルティングの過程において、専門的なノウハウやフレームワーク、ツールを効果的に活用しながら、質の高いサポートが提供されていきます。
4.健康経営コンサルティングのプロジェクト推進イメージ
健康経営コンサルティングサービスに関心があるものの、コンサルティング会社と一緒に仕事をしたことがないため不安がある、という声もいただきます。
そのため、コンサルティング会社を活用する場合、どのようなプロジェクトの進め方になるか以下でご説明します。
なお、プロジェクトの進め方についても、コンサルティングサービスを提供している各社によって大きく異なっています。
以下はあくまでも弊社(株式会社WILLEE)の進め方と思ってお読みいただければと思います。
[ヒアリング~サポート内容・金額提案]
- お客様の課題・ニーズのヒアリング
- 課題・ニーズを踏まえたコンサルティングサポートの提案
[社内承認~契約]
- 社内承認に必要な追加資料・情報の提示
- 契約書案の提示・双方法務での確認
- 契約締結
[キックオフ]
- MTG日程の調整
- MTG実施方法・コミュニケーション方法・情報共有方法の確認
- 共有いただきたい情報一覧の提示・擦り合わせ
- プロジェクト全体のマスタースケジュール提示・擦り合わせ
- お客様の現状に関する詳細ヒアリング(キックオフ後も複数回かけて)
[MTG時]
- TODOの進捗確認・相談
- アジェンダに基づく検討・整理資料や参考情報の提示、それを踏まえた擦り合わせ
- 次回MTGのアジェンダおよび双方TODOの確認
[MTG後]
- 電話・メール・チャット等によるコミュニケーション
- お客様:TODOに基づく推進(社内状況の確認、MTG討議結果の社内確認等)
- コンサル:MTG討議を踏まえた成果物のブラッシュアップ、次回MTGアジェンダ・TODOに基づく各種検討・整理
上記の通り、プロジェクトマネジメントをコンサルティング会社側で担うため、アジェンダやTODOを整理してもらいながら、期日を定めて着実にプロジェクトが推進されていきます。
その中で、今まで整理されていなかった情報が整理・可視化されたり、今までモヤモヤしていた課題に対しての解決策が決まったり、健康経営の質とスピードが上がっていくのを感じられることと思います。
また、コンサルティング会社を活用していくにあたって、よく不安を持たれがちな3点についても触れておきます。
1. 社内の情報がほとんど整理されていない、プロジェクトについていけるのか?
→お客様の状況に応じて“何を整理すべきか”を一緒に検討するところから始めます。その後、社内で情報を集めながら、その進捗に応じたプロジェクトスケジュールの調整を行っていきますので、まったく心配ありません。
2. 全社における健康経営の温度感がまだ低いが、それを度外視したプランを提示されるのではないか?
→健康経営は全社的な取り組みですので、お客様の社内の現状や事情を踏まえて、“どうしたら推進・浸透を図っていけるか”という視点を重要視しながら、客観的・中立的に実現性の高い最良のプランを検討していきます。
3. 悩んでいることもしっかりと整理してからでないと相談しづらいのではないか?
→モヤモヤの状態をシェアしていただくことで、“何が論点であるか”を一緒に擦り合わせながら、その解決を図っていきます。経験豊富なコンサルタントほど、同じ社内メンバーかのように非常にフランクに相談していただける雰囲気を持っています。
5.最適な健康経営コンサルティングパートナーの選定を
本稿では、健康経営コンサルティングが求められている背景、活用することで得られる価値、サポート内容、プロジェクト推進イメージについてご説明しました。
健康経営は中長期的な取り組みであり、幹となる戦略・計画が不可欠です。
また多岐にわたる取組みを優先順位付けしながら着実に推進し、それを社内に浸透させていくこと、そして的確に検証・改善を行うことも欠かせません。
上記を踏まえると、すでに健康経営に取り組んでいる企業も、これから取り組む企業においても、自社の健康経営に伴走してくれるコンサルティングパートナーを見つけることは、質とスピードを上げていくうえで、重要なポイントと言えるでしょう。
ただし、健康経営コンサルティングについては多様な会社がサービスを提供しており、内容やレベル、特徴などが大きく異なっています。
どの会社を健康経営コンサルティングパートナーとして選定するかによって進む道や成否が分かれるため、慎重な検討が不可欠です。
そのため、健康経営コンサルティングの活用検討を考えられていらっしゃる推進担当者様向けに、サービス提供会社の分類や比較方法をまとめた「健康経営コンサルティング比較ガイド」を作成しましたので、ぜひご活用ください。